どの藩の経済も傾いてきた宝暦八年、奥脇抄一郎は江戸で表向きは万年青(おもと)売りの浪人、実は藩札の万(よろず)指南である。<br />戦のないこの時代、最大の敵は貧しさ。<br />飢饉になると人が死ぬ。<br />各藩の問題解決に手を貸し、経験を積み重ねるうちに、藩札で藩経済そのものを立て直す仕法を模索し始めた。<br />その矢先、ある最貧小藩から依頼が舞い込む。<br />三年で赤貧の藩再生は可能か? 家老と共に命を懸けて闘う奥脇がみたものは……。<br />