大学を卒業し、ある日私は誰もいないおんぼろ寺に帰ってきた。<br />祖父母と過ごした小さい刻の愉しい記憶をもう一度実現させるためだ。<br />掃除に取り掛かった私が池で見つけたのは、真っ白な自称人魚の男『うお太郎』。<br />人魚にも見えないが、人間とも思えない不思議な生物だった。<br />うお太郎は、この寺の周辺には奇妙な石が埋っており、それを私には見つける力があると言う。<br />石には記憶を忘れさせたり、幽霊を閉じ込めたりする力が宿っているというのだが……。<br />