名人と言われる四代目松井源水を父にもつ曲独楽(きょくごま)師「ひらがなげんすい」ことお駒は、おきゃんで一本気な十五歳。<br />前髪を垂らし、茶筅形に束ねた総髪の男装で舞台に立つ。<br />ある日お駒は、怪しい二人連れに後を尾けられる。<br />折しも江戸では香具師(やし)殺しが立て続けに起きていた。<br />狙いは母の形見の鬼の根付らしい。<br />生前掏摸(すり)の名人だった母親譲りの鮮やかな手口で男から巾着を盗んだが……。<br />(『疾風独楽 つむじ風お駒事件帖』改題)