浅草寺参詣の帰途、老舗料理屋の娘が何者かに連れ去られてしまう。<br />一緒にいた母親は無事だったが、お供の下働きは袈裟がけに一刀のもとに斬り捨てられていた。<br />亡骸を検(あらた)めた岡っ引き銀次は、ひと月前に和泉橋のたもとで呉服屋の娘が攫(さら)われ、お供の丁稚が斬り殺された事件との類似性に気づく。<br />江戸を恐怖に陥れる凶悪犯を、銀次の一角流まろほし十手が追いつめる。<br />書下し長篇時代剣戟。<br />