黒澄は操青に告げる。<br />君は生きた貢ぎ物になるのだ。<br />身につけている技倆──性技を最大限に発揮して、私の目的のために活かしてもらう……。<br />少年はその若さで絶望を知り、哲学的諦観を知っていた。<br />大戦前夜。<br />軋む列強の関係。<br />ナチス内部の権力闘争。<br />日本政府を掌握した皇道派と北一輝の思惑。<br />暗躍するイギリス、ソ連の特務たち。<br />時代の波に翻弄され続ける操青の運命は……?