別れたはずの香織――楚々として申し分のない女だったが、内なる欲望を晒そうとしない物足りない女。<br />交際中の千鶴――奔放で欲望を満たしてくれるが、金に執着する傾向の強い女。<br />小津健吾は過去と現在の女の間で彷徨っていた。<br />復縁を条件に香織のおばが遺した三千万円の遺産が原因だ。<br />真に心も躯もつながるということの意味を問う長篇恋愛小説。<br />