愚か者の身分
第二回大藪春彦新人賞受賞作!今野敏氏「秀逸なラスト」馳星周氏「突き抜けた何か」選考会にて両選考委員激賛!戸籍ビジネスの闇に蠢く半グレを描いた新時代のクライム群像劇!================身寄りなし。
身分証なし。
金なし。
そんな優良人物をSNSを駆使して探し出すのがマモルの仕事だ。
狙うは戸籍。
女性を装い言葉巧みに相手の個人情報を引き出して、売買が成立すれば報酬をもらえる。
ある日、マモルは上司から不可解な指示を受けた。
タクヤと距離を置け。
自分にこの仕事を紹介してくれた先輩に、なにが起きたのか。
翌日、タクヤの部屋の掃除を命じられたマモルが見たのは、おびただしい数の血痕だった。
もう、タクヤはこの世にいない。
悲しみにくれるマモルに一通のメールが届いた。
それは、タクヤからのメッセージだった――。
===【作者より】受賞作の短篇に、その先の物語と背景を描いた書下しの長篇です。
舞台は東京。
闇ビジネスを背景に、登場人物それぞれの浅はかな「愚かさ」を書いてみました。
ある者は運命的に。
ある者はちょっとした弾みで、意識のないまま犯罪に手を染めていきます。
そんな「愚か者たち」のお話です。
西尾潤
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