幕末に京都を震え上がらせた新選組の隊士・沖田総司は、子どもと鬼ごっこをしていた。<br />殺戮の場で、牙を剥いた悲愴な狼が、幼子のように無垢だった。<br />人を斬った翌日は、血の臭いを振り払うために戯れるのだ。<br />そこへ美しい娘が現れ、総司は魅入ってしまう。<br />天然理心流の剣が何より大事であったが、胸は高鳴るばかり。<br />が、労咳に冒された総司は、ただ、娘の額に口づけしかできなかった…。<br />※本作品は、「沖田総司 壬生狼」を加筆修正した新装版です。<br />