雪のなまえ
つらいことからどうして逃げちゃいけないの?【著者からのコメント】「自分探し」の記憶はあまりありませんが、「居場所探し」はつい最近までくり返してきた気がします。
心安らげる居場所がないのは不安なことです。
つい、間違ったものにしがみつきたくなってしまう。
ここにいていいのだと信じられる場所、ほんとうの自分を受け容れてもらえる場所さえ見つかったなら、誰もがもっと生きやすくなるし、自信を持てるし、ひとに優しくなれるんじゃないか。
そうした場所を見つけようとして今までいた場所に別れを告げるのは、決して〈逃げ〉ではないんじゃないか──。
今作『雪のなまえ』は、そんな思いをこめてつづりました。
時にすれ違っても、みんながお互いのことを思い合う物語です。
若い人にも、かつて若かった人にも、ぜひ。
「夢の田舎暮らし」を求めて父が突然会社を辞めた。
いじめにあい登校できなくなった小学五年生の雪乃は、父とともに曾祖父母が住む長野で暮らしを始める。
仕事を諦めたくない母は東京に残ることになった。
胸いっぱいに苦しさを抱えていても、雪乃は思いを吐き出すことができない。
そんな雪乃の凍った心を溶かしてくれたのは、長野の大自然、地元の人々、同級生大輝との出会いだった――。
ほんとうの自分を受け容れてくれる場所。
そこを見つけるため、今いる場所に別れを告げるのは、決して逃げではない。
【目次】プロローグ 夢と自由と第一章 新天地第二章 美しい眺め第三章 人間の学校第四章 名前第五章 サイダーの泡第六章 一人前の仕事第七章 寄り合いの夜第八章 訪問者第九章 起き上がり小法師エピローグ 雪のなまえ
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