駿河の智将、今川義元の嫡男氏真は十七歳の若さで妻を迎えた。<br />北条家の姫である志寿はわずか八歳。<br />仲睦まじく穏やかな日々を過ごしていた。<br />だが、桶狭間の戦いで留守将として駿府にとどまっていた氏真は、父の死と未曽有の敗退を知る。<br />勝利方の織田信長と同盟を結んだ盟友徳川家康の裏切り、国人領主たちの離反。<br />数々の試練を乗り越え、武田、北条、足利、織田、果ては豊臣の滅亡までを見届けた氏真。<br />「戦国一の愚将」とされる氏真像を覆す歴史長篇。<br />