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風の港

そんな時は待とう、静かに。
諦めず。
いい風があなたに吹く日まで。
そこに降り立ち、飛び立つまでのひととき。
旅人たちの人生が交差し、奇跡が起こる。
『桜風堂ものがたり』シリーズの著者が贈る珠玉の空港物語。
【著者からのコメント】コロナ以前は、たまに空を飛ぶことがわたしの日常で、空港で過ごす時間もまた日常でした。
滞在の時間を長めにとって、カフェで版元さんと打ち合わせしたり、大きな窓から空や飛行機を見ながらラウンジでのんびり仕事をしたり、本を読んだりしたものです。
ある日、羽田空港のレストランで、ひとり昼食をとりながら、ふと、行き交うひとびとの足音や声に、耳を澄ませたことがありました。
みんな旅の途中なんだな。
それぞれの旅の。
そして人生の。
ひとときここで翼を休めて、またそれぞれに飛び立つんだな――。
そう思うと、みなが同じ大きな船に乗り合わせた旅人のように思えて、愛しくなりました。
その時の気持ちが核になり、『風の港』は生まれました。
第一話 旅立ちの白い翼夢破れて、故郷の長崎へ戻る亮二は荷物をまとめて空港へ。
似顔絵画家の老紳士と出会い思わぬ言葉をかけられる。
第二話 それぞれの空「本は魔法でできているの」小さな書店を営んでいた祖母の言葉。
いま空港の書店で働く夢芽子が出会う、ちょっと不思議な物語。
第三話 夜間飛行恵と眞優梨は33年ぶりに空港で再会する。
少女の日のすれ違いと切ない思い出を名香の香りに乗せて。
第四話 花を撒く魔女老いた奇術師幸子は、長い旅の果て、故国の空港に降り立つ。
自分の人生が終わりに近いことに気づき、来し方を振り返る。




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