少年は繰り返していた。<br />空腹に耐えかねて、目の前にいる男の握り飯を奪う行為を何度も。<br />それに気づいたとき、首だけの男と出会う。<br />その男は少年と同じく過去の記憶を無くしていた。<br />侍だったと言うこと以外は。<br />彼らはなぜ、記憶を無くしているのか? 男はなぜ、首だけの姿になってしまっているのか?第164回直木三十五賞を受賞した著者が、『千年鬼』(徳間文庫刊)に続いて贈る和風ファンタジー。<br />