オルゴール修復師・雪永鋼のもとに、遺産相続の話が舞い込む。<br />いちど修理を引き受けたことはあるものの、直接会ったこともない洋服量販店の創業者が、所有しているオルゴールすべてを遺贈する、というのだ。<br />理由がわからず、戸惑う鋼のもとに、相続放棄を唆す脅迫状が届く――。<br />壊れたオルゴールが、鋼の手によって失われた音楽を取り戻したとき、奏でられた真実とは? 清廉な筆致で静かな感動を呼ぶ、傑作本格推理。<br />