江戸は天保末期、深川を東西に流れる小名木川のほとりには、春をひさぐ女が多くあった。<br />彼女たちにとって、川は哀しみの涙をあつめて流れる‘女泣川’だった。<br />旗本の左文字小弥太は、苦界で懸命に生きる売女たちの姿に胸をうたれ、屋敷を飛び出し、用心棒を買って出た。<br />竹光だが、斬れ味鋭い‘べらぼう村正’を振るって難事に挑む酔狂な剣客の活躍を描いた連作集!