いつもは淡白な彼女が積極的に燃え上がった夜、FMから流れていたのは、ブラームスの交響曲第四番だった。<br />チェロの響きが彼女に異変をもたらす。<br />演奏会で無伴奏チェロ組曲を聴いたときは、終演まで待てなかった。<br />タクシーの中で彼女は自ら太股を開いて……(「黒の旋律」)。<br />音楽が、絵画が、バイクが官能を刺激する。<br />女と男をめぐるフェティッシュな恋愛小説集。<br />