天正五年、十四歳の咲姫は、甲斐の太守(たいしゅ)武田勝頼に輿(こし)入れした。<br />織田・徳川連合軍に大敗した武田は、甲相同盟の強化を計る。<br />だが、やがて咲姫の兄・北条氏政が、勝頼との同盟を反古(ほご)にし、織田と同盟を結んだ。<br />木曾義昌の謀叛、さらには武田一門筆頭の穴山梅雪の逆心と、名門武田氏は滅びの道を辿るが……。<br />悲運の武将・武田勝頼を敬愛し、殉じた女の生涯を活写!(『涙、らんかんたり』改題)