弘道は複雑な家庭に育った。<br />父は発明狂で家族には無関心、母はその虚しさを愛人に賭けた。<br />当然破局が訪れ、弘道は母の愛人に引き取られる。<br />父も若い恋人を得て対抗した。<br />こうした環境が弘道の性格に暗い影を落とし、恋人良江を得ても、結婚に至るまで懊悩する。<br />――大胆な性を描く富島世界の根幹ともいえる恋愛傑作小説。<br />