ひどく酔っていた私は、ビルの谷間で見知らぬ男ともみあっていた。<br />相手を突き倒し、落ちた免許証入れをひろって顔を上げると、きれいな三日月が。<br />翌日、免許証入れを取り違えていたことに気づいた私は、夜のニュースであの男が殺されたことを知った……(「目撃者は月」)。<br />なにげない日常に忍び寄る殺人の影。<br />名手が巧みに紡ぎ出した傑作短編集!