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鞄屋の娘

彼女は鞄を作る父の背中が好きだった。
だだだ、だだだ、というミシンの音が「父の音」だった。
やがて、家庭に安住できない父は家を出、亡くなった。
大人になり、息子をもうけた彼女には既に母もなく、どこかで暮らす同じ「掌(てのひら)」をした異母兄だけがいた……。
やがて、彼女は父と同じ鞄作りを始める――。
家族、愛、人生の意味を問う第6回小説新潮長篇新人賞受賞作。




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