貧しい御家人の次男坊の善吉に、願ってもない婿養子の口が舞い込んだ。<br />相手は黒門町の馬具屋で、蔵には千両箱が唸っているという。<br />娘の器量も申し分なく、あっさりと二本差しを捨てて町人に鞍替えした善吉だったが、家中にはどろどろの男女関係が渦巻き、果ては刃傷沙汰まで……。<br />作者の小説巧者ぶりを存分に発揮した諧謔と機知溢れる表題作をはじめ全七編収録。<br />