戦時中、そして終戦直後の混乱期を抜群(ばつぐん)の商才で乗り切り、蓄財に成功した小佐野賢治に大きな飛躍の機会(チャンス)が訪れた。<br />東急電鉄のオーナー五島慶太(ごとうけいた)との出会いである。<br />五島に勧(すす)められた箱根の強羅(ごうら)ホテルの買収、これが賢治にツキをもたらした。<br />熱海、山中湖に所有のホテルが駐留米軍の休息所に指定され、膨大な家賃が支払われたのだ。<br />賢治は次に運輸事業へ乗り出した。<br />