太刀川要が深夜に遭遇した異様な大きさの黒犬は、半死半生の状態だった。<br />動物病院へ駆け込むと、不可解なことに判別不能の犬種で獣医も戸惑うばかり。<br />やがて始まった共同生活は、かたくなに孤独を貫く男の見慣れた風景を変えていく。<br />そして湧き起こる、ある疑惑の真相とは――。<br />ジョンの眼差しを通じて見つめる人の営み、滑稽さ、哀しみ。<br />淡く胸に迫る大人のファンタジー。<br />