水沢藩の勘定方に勤める保(たもつ)は、貧しさゆえに、好きな算学(数学)に打ちこむことができいない。<br />ある日、算学を嫌っていた父が水死した。<br />母の行動に疑惑を懐きながらも、そのままにしてしまった彼は、自責の念にかられる。<br />保は、算学への夢を捨て、母を道連れにして…。<br />(表題作) 剣の道よりも、和算の解に命を賭けた男たちの悲喜劇を描く、異色の傑作時代小説集!