四つの貸し部屋を造ることで深井英生の覗きと盗聴の欲望は十分に充たされた。<br />妻の多重子(たえこ)も凄絶な他人の悦楽に痺れる。<br /> しかも英生は大家として、魅惑的な間借り人の美女に接近し多重子を、さらに刺激した。<br /> 男女の性的異常性・好奇心を徹底的に観察して、人間の本質に迫る『人間の部屋』の後編。<br />