二十六年前、飛騨白川郷。<br />十二歳の私が住む合掌造りの家は、赤い炎に包まれ崩れ落ちた。<br />焼け跡からは、父母の遺体が。<br />火事は私の心までも焼き焦がした。<br />……今、私の眼前に、その家が当時のままに現れた。<br />技術が作り出した仮想現実。<br />そこには父と母、そして〃彼女〃もいた。<br />浮かび上がる苦い真実に私は……。<br />〃祈り〃と〃救い〃――幸福の「明日」を問う表題作ほか全四編!