紀州太地にクジラの回游が途絶えた。<br />明治10年のこと。<br />困窮するクジラの村を救うため、捕鯨責任者・勝山良之助は若い未亡人・お妻を付け人に大阪や東京へ金策に飛ぶ。<br />その頃、日本近海でアメリカの黒船が鉄砲でクジラを撃っていた。<br />しかも二人は日米開港条約が相手方の捕鯨に有利な条件なのを知った! 著者自ら現地取材を重ね、全力を傾注した直木賞候補の大作。<br />