送別会の夜、柿山は泣きたい気持ちだった。<br />密(ひそ)かに思いを寄せた萌(もえ)はやって来ない。<br />しかも目の前にいるのは、彼女の恋人と噂される御曹司。<br />が、駆けつけた萌は柿山に意外な告白をした──。<br />二十歳以上年下の憧れの美女。<br />その体の隅々までが、柿山の前に開かれてゆく……(表題作)。<br />狂おしいほどに求め合う男と女の姿を、抒情(リリシズム)あふれる筆致で描いた珠玉の作品集。<br />