悪行を尽くしてきた男が、老いさらばえ傷つき、葬送地の草叢(くさむら)にうち棄てられていた。<br />死を目前にした者と、死体から着物を剥(は)いで売るためにやってきた男が出会ったとき――。<br />(表題作)。<br />とある表具師(ひょうぐし)が語る、古びた一双の屏風絵をめぐる恐ろしくも切ない怪異譚(「墨円」)。<br />磨き抜かれた文章が紡ぎ出す美しき夢幻の数々。<br />書下ろし作品を含む12編を収録。<br />