作家の田辺浩三に、推理劇執筆の依頼が舞い込んだ。<br />舞台は能登で、犯人はこの女でと、あらかじめ指示がある。<br />奇妙な設定がもうひとつ。<br />「死体は、高い崖の上に生えた松の木に、御陣乗太鼓の鬼面をつけて首を吊っていること」自然の密室である。<br />ただし、「謎をどう解くか」の部分は白紙。<br />困惑した浩三は、能登へ旅立った。<br />いわくありげな美人女優をお伴に連れて……?