小川家は、郊外の分譲地にあった。<br />駅まで歩いて二十分。<br />スーパーも自販機もない。<br />週一回はひどい霧にすっぽり包まれるという寂しいところ。<br />だから隣に宮沢家が引っ越してきたときには、大歓迎だった。<br />しかし、どうした偶然の一致か、宮沢家と小川家の家族構成は、各人の年齢までピタリ同じだった。<br />平凡な家庭に起こる戦慄の事件。<br />