女手一つで娘の奈保子を育てた花江。<br />その奈保子が出産のため里帰りしていた。<br />かつて奈保子には弟がいたが、不慮の事故で亡くなっていた。<br />過去の大きな喪失と、静かに向き合って生きてきた母娘の慟哭を、切なく繊細に描いた表題作。<br />他に、幼稚園で他の子供とうまくやっていけない息子に苛立ち、人間関係に追いつめられていく母の孤独が胸に迫る「ちいさな甲羅」も収録。<br />