吉良邸討入りを前に、赤穂浪士・磯谷十郎左衛門の心は揺れていた。<br />小間物問屋の美しい若後家・お弓への思慕。<br />運命の日、十郎左衛門はひとり、お弓の家の前に立った。<br />永の別れを告げるため。<br />討入りの刻限が迫っていた……。<br />(「浪士慕情」)浅野匠頭刃傷の真相、生類憐憫令の悲喜劇、寵臣・柳沢吉保の思惑など、繚乱の時代・元禄を流麗に描いた傑作時代絵巻!