私は、はっきりと彼の最後の言葉を想い出す。<br />「君がこなごなに、壊してしまったのさ」 上手に恋しているはずの私。<br />なのに、私の洞察力は、彼と逢えない夜、私の知らないうちに、鋭利になっていた……。<br />(表題作より) 実らぬ恋でも、せつなくても、いちばん愛しかった男(ひと)への想いを、純粋(ピュア)な気持ちで綴った短編連作6景。<br />男女の別れをテーマにした、著者の告白的恋愛小説。<br />