「お婆ちゃんを一人引き取ってくれないかな」六(ろく)さんが困り果てて、やってきた。<br />彼の飼い猫に傷物にされた雌猫の飼い主・鳴鐘(なるがね)きり子がその罰として、母親・春(はる)の世話をするように言ってきたのだ。<br />六さんのために、私は自分の病院に春を引き取ることにしたのだが……(「愛の季節」より)。<br />常に患者の立場に立ち、市井(しせい)の人々の視線を持ち続ける現役医師が描く、心温まる物語!