長患いを負い目にし、自害を試みた一三(いちぞう)を救った若き医者・圭吾(けいご)。<br />日本橋福島町の長屋に居着き、住人から頼りにされていた。<br />だが、懇意にする薬種問屋の若旦那とのいざこざから、薬が手に入らなくなる。<br />亡き父から託された教えを胸に刻みながらも、圭吾は志を失いかけていた。<br />そこに永代橋が落ち、多くの怪我人が出たとの報(しら)せが。<br />小説宝石新人賞作家の長編デビュー作。<br />