戦後の混乱期に戸籍を消された上条(かみじょう)健策は、自らを‘硬派金融’と称して日本経済界の裏街道を歩いていた。<br />その商売は金融業といっても月並みな高利貸とは違い、金利を稼ぐより相手をそっくり食ってしまうのが狙いであった。<br />上条のもとには経済犯罪のスペシャリストたちが集(つど)っていたが、そこへある融資話が……。<br />権謀術数入り乱れる裏金融界の実態を抉る異色作。<br />