広島駅構内で中谷は手錠を掛けられた。<br />〃怪盗もヤキが回ったなァ〃と舌打ちした。<br />彼は六年前から、名古屋に多喜子、京都に比佐子、広島に美佳という美女を囲い、新幹線を活用し、窃盗で稼いでは彼女らを歓喜させてきた。<br />だが、今は人生の「最終列車」に乗せられたに等しい。<br />ところが、まず、美佳が激励に現われて……。<br />犯罪小説(クライム・ノベル)の名手が、様々な男女の生きざまを展開!