色白の顔に細い八の字ひげ、撫でつけた漆黒(しっこく)の髪……気障(きざ)で柔弱(にゅうじゃく)な宝石商・高牟礼三太郎(たかむれさんたろう)。<br />しかし、彼には怪盗団を取り仕切る〃裏の顔〃があった。<br />口八丁手八丁の仲間を率い、金持ち連中から宝石を巻き上げる手練手管は右に出る者なし。<br />さらに、その心の内には、途方もない〃理想の夢〃が燃えていた――! 明治の若い息吹が横溢する痛快ピカレスクロマンの傑作!(『開化回り舞台』改題)