歌人・斎藤茂吉は洋行(ようこう)の途次(とじ)、巌流島に渡った。<br />生涯六十余度の決闘で不敗を誇った宮本武蔵は、本当に強かったのか? 帰国後、茂吉は誌上で菊池寛と‘宮本武蔵論争’を展開する。<br />それがやがて、「武蔵名人説」を唱える菊池と「非名人説」に立つ直木三十五(なおきさんじゅうご)との激しい論争へと発展していく。<br />――本書は、今まで誰も読んだことのない、武蔵をめぐる物語である。<br />