大都会パリをあてどなくさまようマルテ。<br />「見る」ことを学ぼうと、街路の風景やそこに暮らす人々を観察するうち、その思考は故郷での奇妙な出来事や、歴史的人物の人生の中を飛び回り……。<br />「都市で浮遊する彼の精神がとらえた不安げで不確定な世界の印象を、ぜひ味わっていただきたい。<br />……テクストの空間的・時間的拡がりを楽しみながら、マルテを追跡していただければ幸いである」(訳者まえがきより)