東海道は由比の宿。<br />才気煥発な紺屋(こうや)のせがれである与四郎の夢は「公方様になる」ことだった。<br />彼は、長じて由比民部之助橘正雪(ゆいみんぶのすけたちばなのまさゆき)と名を改める。<br />由比正雪である。<br />泰平無事の世とはいいながらも、巷には多くの浪人があふれ、時の執政に対しての不満が鬱積していた。<br />幕府の転覆を企てた憂国の軍学者の、その波瀾万丈の生涯を描いた傑作時代小説。<br />「慶安事件」始末記!