一高の歴史の中で、これほど奇妙な人間消失事件もないだろう。<br />ある日、本館正面の時計台の中で、一人の学生が忽然と姿を消した。<br />事件には忌まわしい悪魔の影がつきまとっていた。<br />一高生に扮した無気味な男の姿と、一高を憎み呪っていた女の謎。<br />そして事件は悲劇的な結末を迎える――。<br />本格推理白眉である表題作のほか、その続編ともいえる「輓歌」も収録。<br />