見世は繁盛しても、やぶ浪の主・浪介と女房のおぎんには、頭を離れない悩みがあった。<br />子宝に恵まれないことだ。<br />有名な易者の見立てでは、二人で戌亥(北西)の方角に旅に出るとよいという。<br />ひと月の休みをとっての夫婦水入らずの道行き。<br />信濃へと向かった二人を待っていたのは、一面にひろがる真っ白な蕎麦の花だった。<br />数々の美味と人情に心温まるシリーズ第5弾。<br />