「ね、一回でいいから、貸してくれない?」。<br />三重は冗談まじりに母の佐知子に頼んだ。<br />佐知子の情人・中山と寝てみたい……ふたりの秘め事を垣間見た三重の感想はそれだった。<br />他方、中山も母娘の違いを知りたいという《悪魔的な欲望》が……。<br />(表題作) 著者永遠のモチーフ「若者たちの悩める性」。<br />その多彩な貌を浮き彫りにしながら語られる、美しき神話の数々。<br />