〔辰巳屋〕は、店主の喜平が厨房を仕切り、息子の嫁・秀子が、おかみとして暖簾を守る老舗の鰻屋。<br />息子の道介は、鰻を焼く匂いを嫌って家業を継がず、挙げ句の果てに外に子供までつくってしまった。<br />その子も早18歳。<br />ある日、秀子は道介に息子の将来を相談され、喜平に弟子入りさせようとするが……(表題作)。<br />美味い料理に人情あり。<br />心あたたまる隠し味。<br />全9編収録。<br />