現代社会に暮らす人々の中にある「自分以外の何者かになりたい」という願望を基調にストーリーは展開する。<br />愛人と主婦、警官と情報屋、実の子なのに母親の連れ子を演じる子どもなど、多彩な「二役」が登場し、読者を混乱に陥(おとしい)れながら意外な結末へ。<br />スピーディな展開の中に、現代人の心理が垣間見える。<br />短編の名手の筆が冴える8編。<br />