奈津は不義密通が重罪だと知ってはいたが、小者の小市郎に惹かれ、からだを許した。<br />以来、若い二人は燃え狂う。<br />が、密会は露顕し、夫の茂右衛門は有無も言わせず小市郎を斬った。<br />次の刃は当然、自分へ……と奈津は覚悟したのに、茂右衛門は太刀を納めた。<br />なぜ? どんな仕置が奈津を襲うのか!(『芙蓉』)。<br />直木賞作家が、武家社会の掟に抗う女性を描いた珠玉小説集。<br />