遠別――北海道の最北端を日本海側に下った小さな町。<br />風は強く、日本とは思えないほど冬の寒さは厳しい。<br />それでも季節はめぐり夏には水もきらめく。<br />その地で、豊かな生命の営みを全身で感じていた少年。<br />長じて装丁家になったその少年は、北の自然に溶けこんだ大切な思い出を、みずみずしい文章で絵画のように描き出した。<br />懐かしさが芳醇(ほうじゅん)に匂いたつ傑作短編集!