長屋王・発願(ほつがん)の写経に携わった下級官吏・東人(あずまひと)は、長屋王の付した跋文(ばつぶん)に秘かな危惧を抱く。<br />やがて、身分の壁に出世の望みも絶たれた彼の前に、予期せぬ運命が。<br />一方、天武天皇の皇子・新田部(にいたべ)は死の床で長屋王の変を回想していた。<br />生涯一度の一族繁栄の好機を逃したことに後悔しつつ……。<br />権勢をほしいままにした長屋王を自尽(じじん)に追い込んだ真相とは?