安政四年。<br />坂本のお仁王さまといわれた乙女が、藩医・岡上(おかのうえ)家の新甫(しんすけ)に嫁いだ。<br />絵を描き、長刀(なぎなた)を使う大女の乙女と小男の新甫は、まさに蚤(のみ)の夫婦。<br />長男・赦太郎(しゃたろう)も生まれ、姑とも上手くいっていた。<br />ところが、長姉の突然の死、弟・龍馬の脱藩、さらには夫の不倫が発覚し、俄に乙女の身辺に変化が生じてきた。<br />――龍馬の姉・乙女の実像。<br />他一編収録。<br />